2024.11.27
京王線「千歳烏山駅」から「芦花公園駅」まで歩く。
千歳烏山駅南口を出て商店街を南下すると三叉路があるのでそれを左、次の三叉路もまた左に進むと、やがて「芦花公園西」の交叉点(五叉路)がある。交叉点の中央には「粕谷村地蔵尊」がある。



交叉点の北東角にあるカフェの北側を東西に走る粕谷区民センター通りを東に行くと「蘆花恒春園」に至る。


「蘆花恒春園」は、東京都に寄贈された徳冨蘆花(高校の時に『不如帰』を読んだ)の旧宅を公園としたもの。徳冨蘆花の旧宅部分は、母屋の一部を見学することもできる(無料)。旧宅には、母屋の他に梅花書屋と秋水書院とがある。(「秋水書院」の名は、建前の日が大逆事件の犯人とされた幸徳秋水らの死刑執行の日だつたことに拠る。蘆花は、大逆事件は冤罪であるとし、死刑判決が出ると、兄蘇峰を通じて桂総理に死刑再考を嘆願した。)恒春園には、蘆花手植ゑの竹林や蘆花夫妻の墓もあり、南側は公園になつてゐて、銀杏や櫟・楢が黄葉してゐた。小生が訪れた時には、近くの保育園の子どもたちが保育士に連れられて散歩に来て走り廻つてゐた。




芦花公園西のカフェの所まで戻り、千歳通りを北上すると、「世田谷文学館」がある。世田谷文学館では、「寺山修司展」と「漫画家森薫・入江亜季展」を開催中。


寺山修司は、歌人・劇作家で、前衛演劇グループ「天井桟敷」を主催した。下の垂れ幕は、寺山の短歌を展示したもの。(これだけは、写真撮影可だつた。)小生も、授業で「マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」などの歌を扱つたことがある。「天井桟敷」の主な作品には、「書を捨てよ、街へ出よう」「時代はサーカスの象にのって」などがある。(ちなみに「天井桟敷」の旗揚げ公演「青森県のせむし男」の主演は、丸山(三輪)明宏。寺山と女優九條映子の結婚の仲人は、先日亡くなつた詩人の谷川俊太郎。)

森薫の代表作は『エマ』(エンターブレイン)・『乙嫁語り』(KADOKAWA)、入江亜季の代表作は『乱と灰色の世界』(エンターブレイン)。二人とも手書きにこだはつた繊細で精緻な絵柄が魅力である。(著作権の関係で、絵は紹介できないのが残念だけれど…。)
千歳通りをさらに北上すると「芦花公園駅」に着く。

昼食は、駅の北口の前にある「中華蕎麦きつね」で「濃厚味玉中華蕎麦」と「黒炭稲荷寿司」。(駅は工事中で周囲が囲はれてゐて場所が判りにくいが、小生が行つた時には12時前だが何人かが並んでゐた。)店名の〝きつね〟からも判るやうに、中華蕎麦だがメインの具はきつね蕎麦と同じく油揚げ。スープは、煮干しの利いた和風の魚介豚骨で、これに甘く味付けしたお揚げがよく合ふ。夫婦で営んでゐる店のやうだが、奥さんの接客もとても好印象。


近くには、懐かしい佇まひの駅前書店「梅木書店」もある。

駅の北側の線路沿ひに「長泉寺」といふ寺があるので参詣してから帰ることにする。賽銭箱の上に喚鐘(小さな鐘)が置かれてゐるのがちと珍しい。


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