2025.01.30
上野の「国立西洋美術館」に行く。「国立西洋美術館」は、「ル・コルビュジエの建築作品—近代建築運動への顕著な貢献—」の構成資産として世界文化遺産に登録されてゐる。上野駅の公園口を出ると、目の前は「上野公園(上野恩賜公園)」。右手に「GREEN SALON」、左手に「東京文化会館」を見ながら真つ直ぐ進むと、今日の目的である展覧会「モネ 睡蓮のとき」の大きな看板が見える。




「国立西洋美術館」は、開場前から数百人の行列ができてをり、入場まで30分くらゐ掛かつた。インターネットで事前にチケットを買つてゐなかつたら、チケット購入でもさらに並ぶところだつた。

クロード・モネは、言ふまでもなく印象派の中心的な画家であり、自然の光や色を通して、その場の空気感や自己の心象まで描かうとした。
今回の「モネ 睡蓮のとき」は、晩年の作品に焦点を当て、ジヴェルニーの自邸の庭に造られた睡蓮の池を描いた作品が中心である。最晩年の作品は、抽象度を増したとされるが、白内障の影響でぼんやりとしか見えてゐなかつたためとも言はれる。小生は、「散歩、日傘をさす女性」「ジヴェルニーの積み藁、夕日」など壮年期の作品の方を好む。ただ、この展覧会では、同じ場所を描いた複数の絵を並べた展示がいくつもあつたりして、興味深かつた。
また、第3章は、モネが計画した「大装飾画(Grande Décoration)」(睡蓮の池を描いた巨大なパネルによつて楕円形の部屋の壁面を覆ふといふ装飾画)の制作過程で作られた作品の展示である。この部屋の展示だけは写真撮影が許可されてゐたので、皆スマホを出して熱心に写真を撮つてゐた。小生も何枚か写真を撮つたが、個人利用に限るとのことなので、ここに掲示するわけにはいかない。観たい人は、モネ展を訪れるのが一番だが、「国立西洋美術館」のHPでも一部作品を鑑賞できる。
「国立西洋美術館」の前庭には、オーギュスト・ロダンの有名な「考へる人」の彫刻などが展示されてゐる。

「国立西洋美術館」の隣には、「国立科学博物館」がある。ここの展示も豊富で、じつくり見ようと思つたら、1日では足りないくらゐである。出口近くには、実物大の「シロナガスクジラ」の像がある。


「国立科学博物館」の先には、道を挟んで「東京国立博物館」がある。ここも「国宝展」などで何度も来館した。なぜか前庭に「ハローキティ」の像があり(ハローキティーが50周年なのは知つてゐるがなぜ東京国立博物館に?)、大勢が記念撮影をしてゐた。


「東京国立博物館」の前の道を西に進むと、廃止になつた京成線の「旧博物館動物園駅駅舎」があり、その向かひには「黒田記念館」がある。その先には、「東京藝術大学」のキャンパスが広がる。(大学美術館には、去年「大吉原展」で来た。)


上野公園に戻ると、「旧東京音楽学校」(現東京藝術大学音楽学部)の「奏楽堂」がある。公園内を駅の方に戻ると、「東京都美術館」がある。本当に上野は芸術の宝庫だ。


交番も芸術的な形をしてゐる。

「東京都美術館」の先には、「上野動物園」があり(「上野動物園」の写真は「パンダベンチ」越しに撮つた)、正門の手前には「パンダポスト」がある。ここから投函すると、風景印を捺してもらへるらしい。


「上野動物園」の隣には茶屋「新鶯亭」と「上野東照宮」がある。(栃木県の「日光東照宮」と静岡県の「久能山東照宮」には行つたことがあるが、他にも全国にいくつも東照宮はあるらしい。)「上野東照宮」は、藤堂高虎の創建。その後家光が改築。社殿には金箔が使はれてゐる。



「上野公園」は、元は寛永寺の境内で、今でもいくつかの建物が残つてをり、そのいくつかは重要文化財に指定されてゐる。
「上野大仏」は、関東大震災で頭部が落下するまでは像高約6mの釈迦如来坐像だつた。頭部と胴体は再建に備へて保管されてゐたが、顔面部を除いて第二次世界大戦中の金属供出で持ち去られた。胴体を失つた顔面は「これ以上落ちない」といふ意味で受験生らが祈願するようになり、「合格大仏」と呼ばれてゐるさうだ。大仏の傍らには、合格祈願の絵馬が多数懸けられてゐた。

京都の清水寺を模して造られた「清水観音堂」も重要文化財になつてゐる。

また、「正岡子規記念球場」もある。正岡子規は、野球が日本に入つてきた頃に野球に熱中し、野球用語をいくつも翻訳してゐる。さうした功績から野球殿堂入りを果たしてゐる。傍らに句碑もあり、「春風やまりを投げたき草の原」の句が刻まれてゐる。


昼食は、上野公園とともに歴史を刻んできた料亭「韻松亭」で「花籠膳 月」を食す。料理は、豆と野菜が中心で、季節の焼物と茶碗蒸しが付く。御飯は、小豆御飯だつた。


上野公園内には、他にもいくつものレストランがあるので、紹介しておく。園内にこんなにレストランの多い公園は他に無いと思ふ。「韻松亭」の隣には、老舗の洋食屋「上野 精養軒」がある。

上野駅の公園口の改札を出て信号を渡ると、右手(北)にレストラン「GREEN SALON」があり、左手(南)の「東京都文化会館」内にもレストラン「フォレスティーユ精養軒」とカフェ「Cafē HIBIKI」とがある。(「GREEN SALON」と「東京都文化会館」の写真は、最初に掲げた。)
「国立西洋美術館」と「東京都美術館」の間の大通り(さくら通り)の東にはカフェ・レストラン「EVERYONE’S CAFE」があり、西には「STARBUCKS COFFEE」がある。

「西郷隆盛像」の近くにはイタリアン・レストラン「Le quattro stagioni」がある。


「西郷隆盛像」から「上野の森美術館」(今日は閉館だつた)の前を通り、駅(公園口)の方に向かふと、「東京文化会館」の手前に線路を跨ぐ陸橋「パンダ橋(東西自由通路)」がある。(写真は、反対側の「パンダ橋口」改札の前から公園側を眺めたもの。)

ここから「東京文化会館」の楽屋口の前を通り、北に進むと上野駅の公園口に戻り、これで「上野公園」を一周した。
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