宇和島から窪川を経て大歩危へ 「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」

街角の本屋までの旅

2025.03.29

 今日は、観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」に乗るために、「窪川駅」に移動する。
 電車の時間まで時間があるので、駅の近くの「和霊神社」に行く。「和霊神社」の主祭神は、宇和島藩の家老・山家公頼(清兵衛)。公頼は、産業の拡充などに手腕を発揮したが、讒言に遭ひ、凶刃に倒れる。その後この事件に関与した者が相次いで変死したため、人々は清兵衛の怨霊だと恐れ、その霊を祀つたといふ。隣接する「和霊公園」の桜が見頃だつた。

 宇和島では、江戸時代から「闘牛」が行はれ、明治維新以後禁止されてゐた時期もあつたが、紆余曲折を経て、現在では年4回大会が行はれてゐるさうだ。(さういへば高校の頃に井上靖の「闘牛」といふ小説を読んだ。)駅ロータリーの傍らには、闘牛のモニュメントが設置されてゐる。

 「宇和島駅」から予土線の普通列車に乗り「窪川駅」に向かふ。普通列車といつても、1日に何本か走行する「しまんトロッコ」だつた。(トロッコ車輌に乗車するには指定券が必要で、小生は乗ることができなかつた。)ホームの反対側には、初代新幹線の0系をイメージした「鉄道ホビートレイン」も停車してゐた。

 予土線は、四万十川と並行するやうに走り、「しまんトロッコ」の車窓からは四万十川が眺められる。川堤の桜が見頃で、澄んだ川面と青空に映えてゐた。「沈下橋」(洪水時には橋面が水面下になる橋)も何本か認められた。

 「窪川駅」に着く。「窪川駅」では、ホームの自動販売機も「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」のラッピングになつてゐた。乗り換へまで時間があるので、一旦改札を出る。駅前に派手なラッピングバスが停まつてゐた。

 「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」は、JR四国の観光・ものがたり列車の第3弾として2020年7月から運行を開始し、現在は土曜・日曜と祝日に土讃線「高知駅」「窪川駅」の間で1日1往復運行してゐる。(金曜日は、期間限定だが、第三セクター「くろしお鉄道」ごめん・なはり線で、運行されてゐる。)高知発の下り列車の愛称は「立志の抄」、窪川発の上り列車の愛称は「開花の抄」である。2両編成で、1号車は大海を行く蒸気船をモチーフに19世紀末芸術を想起させるデザインで愛称は「KUROFUNE(クロフネ)」、2号車は未来への夢をコンセプトにレトロSF小説で描かれる空想科学上の宇宙船をイメージしたデザインで愛称は「SORAFUNE(ソラフネ)」である。

 小生の座席は、2号車「SORAFUNE」。外観同様、白を基調とした内装である。

 途中いくつかの駅で停車する。改札を出ることもできる。
 「土佐久礼駅」では、海産品の販売があつた。

 「土佐久礼駅」を過ぎたあたりで、予約者には食事「高知家満喫 土佐のおもてなしコース」が提供される。土佐の食材を用ゐた料理が、四万十檜の重箱で供される。(「和食・宴 あずま」提供。)

 地酒3種飲み比べも注文する。「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の車輌を模した紙箱で供された。

 通過する(下り「立志の抄」では停車する)「安和駅」のあたりでは、窓外に太平洋の雄大な景色が広がる。

 「須崎駅」では、地元の人のさまざまなおもてなしがあつた。

 乗客がホームに降りてゐる間に車輌内の写真を撮る。(できるだけ他人の顔を撮らないやうにしてゐるので…。)1号車「KUROFUNE」は、茶色を基調とするが、天井は明るい青空をイメージしてゐる。

 「佐川駅」では、佐川町出身の植物学者・牧野富太郎にちなんだデザインのポストが設置されてゐた。

 「佐川駅」を出たあたりでデザート「仁淀ブルーゼリー〈春〉」が提供された。窓外の桜を眺めながら珈琲タイム。

 沿線各所で、見送りの人が手を振つてくれる。観光列車の運行が〝町おこし〟にも成果があるといいのだけれど…。

 「伊野駅」は、アニメ「竜とそばかすの姫」の舞台になつてをり、ホームの駅名板にもイラストが描かれてゐる。

 窓から遠くに「高知城」が見えた。(下の写真は、ちよつと拡大してゐる。)

 「高知駅」に着いた。駅の階段は、高知出身の漫画家・やなせたかし(4月期からのNHK連続テレビ小説「あんぱん」のモデルになつた)作「アンパンマン」の階段アートが描かれてゐた。

 乗り換へまで少し時間があるので、改札の外に出ることにする。駅前広場には、「三志士像」(坂本龍馬・武市半平太・中岡慎太郎)が建てられてゐる。

 ちやうど「とさでん」路面電車が駅に着いた。

 土讃線「特急 南風」に乗り、「大歩危駅」に向かふ。

 「大歩危駅」に着く。名前の通り「大歩危峡」は勿論、「祖谷(いや)の蔓橋(かづらばし)」の玄関口でもある。改札の脇では「子泣き爺」が立つて出迎へてくれてゐる。今日は、大歩危泊。

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