掛川から天竜二俣を経て都田へ 「天竜浜名湖鉄道(天浜線)」「秋野不矩美術館」

街角の本屋までの旅

2025.10.18

 東海道新幹線でJR「掛川駅」に着く。駅前(南口)の金色のモニュメント「合体」が眼に付く。北口には、以前の木造駅舎の資材を利用し、外観を復元して建て替へられた駅舎が使用されてゐる。

 日本で初めて木造で天守閣を復元した「掛川城」などにも行きたかつたが、時間に余裕が無いのですぐに「天竜浜名湖線(天浜線)に乗り換へる。(掛川には以前車で来て、郊外の「ねむの木村」内にある「吉行淳之介文学館」を見学したことがある。吉行は、高校の頃から小生の偏愛する作家の一人。)
 今回の旅の主目的は「天竜浜名湖線」に乗ることである。「天竜浜名湖線」は、「旧国鉄二俣線」を前身とし、第三セクター「天竜浜名湖鉄道」が運営する。
 天浜線「掛川駅」は、駐輪場の奥にある。

 天竜浜名湖線の「天竜二俣駅」が、映画「シン・エヴァンゲリオン 劇場版」の「第3村」のモデルになつた縁で、「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーション企画が行はれてゐる。

 「天竜浜名湖線」は、ラッピング電車が多い。小生たちが乗る車輌は、マリメッコ列車「New スローライフトレイン」で、カーテンやヘッドカバーにフィンランドのデザインハウス「マリメッコ」のファブリックが用ゐられてゐる。

 切符は、紙(硬券ではない)。Suicaは使へない。

 遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道の共通1日フリー切符の車内ポスター。碇シンジと渚カヲルのイラストが使はれてゐる。

 「天竜浜名湖線」では、旧国鉄時代の駅舎等がまだいくつも使用されてゐて、国の登録有形文化財に指定されてゐるものも多い。写真は、「桜木駅」「原谷駅」「遠州森駅」

 車窓風景。手前の橙色の実は、蜜柑ではなく柿である。

 「天竜二俣駅」だが、「シン・エヴァンゲリオン 劇場版」で「第3村」のモデル地になつたことから、駅名板の表示もコラボ期間中は「第3村」になつてゐる。

 「新世紀エヴァンゲリオン」とコラボしたポスター(パネル)もある。車輌基地には「ロンギヌスの槍」も展示されてゐて、「車両基地見学ツアー」に参加することで見学できる。

 「天竜二俣駅」から「浜松市秋野不矩美術館」に向かふ。県道40号から「双龍橋」を渡つて右折し、国道152号を進む。

 「浜松市秋野不矩美術館」に行く前に、カフェ「komichi」で昼餉。外装・内装ともにレトロな感じで、落ち着く。

 「ランチセットB」の前菜盛り合はせ。この他にスープとパスタと飲物のセット。

 「秋野不矩美術館」へは、大通りよりも裏通り(住宅地の中)を行くのが近道らしい。「天竜高校」の傍らを通る。

 かつてこの附近にはかつて「光明電気鉄道」「二俣町駅」があつたさうで、駅名板が再現されてゐた。「光明電気鉄道」は、鉱石および木材の貨物輸送とともに旅客営業も行ふ都会的な電気鉄道が走つてゐたが、経営難から昭和10年に廃止となつた。その路線の一部は、現在の「天竜浜名湖鉄道」へ移行して使用されてゐるとのこと。

 「二俣町駅」の駅名板の近くに「浜松市秋野不矩美術館」への入口がある。
 「浜松市秋野不矩美術館」は、静岡県浜松市天竜区二俣町にある公立美術館で、二俣町出身の日本画家・秋野不矩(あきのふき)の画業を顕彰し、地域の芸術文化の振興を目的としてゐる。建築設計は藤森照信。2000年の日本建築学会作品選奨を受賞。

 美術館への坂道の途中には、モニュメントや東屋がある。擁壁のコンクリートブロックには杉板を張り、排水溝には木製の蓋が取り付けてある。

 藤森照信設計の茶室「望矩楼(ぼうくろう)」。天竜檜をはじめとする地域の素材を採り入れてゐる。

 「秋野不矩美術館」のHPに拠れば、美術館の屋根は長野県諏訪産の鉄平石で葺かれ、外壁は藁と土を混入した着色モルタルと天竜の杉材の板で覆はれてゐるとのこと。
 1階展示室は履物を脱いで鑑賞する形式となつてゐる。藤森照信は、秋野不矩の作品の汚れのなさに土足は似合はないと考へ、裸足で鑑賞する美術館を設計したといふ。館内は撮影禁止のため写真は無いが、第1展示室の床には籐茣蓙が、第2展示室の床には大理石が敷き詰められてゐる。

 二俣川に架かる「二俣大橋」。これを渡ると国道152号に戻るが、渡らずに手前の小道を行く。

 しばらく進むと「栄林寺」がある。1365年創建の曹洞宗の寺院で、本尊は釈迦牟尼仏。山門・本堂は江戸時代のものださうで、歴史を感じさせる。

 「天竜二俣駅(第3村)」から宿泊地の「都田」に向かふ。小生たちの乗る列車は、「音街ウナ」(音声合成用の音源名及びそのキャラクター)のラッピング列車だつた。

 「都田駅」に着く。改札(下はホーム側からの写真)は、マリメッコのファブリックで装飾されてゐる。

 駅舎の入口にもマリメッコのファブリックで作られた暖簾が下げられてゐる。

 駅前には「JAとぴあ浜松」がある。(「とぴあ」は、静岡県の最西部に位置し、平成17年7月1日に合併して誕生した新浜松市の一部と湖西市の2市からなる地域。)

 天竜浜名湖線と並行して走る国道362号線を進み、都田川に架かる「藤渕橋」を渡ると、右手の畑の中に「豊都稲荷神社」の赤い鳥居が建ち並んでゐるのが眼に付く。

 国道362号をさらに進むと三叉路がある。左に折れる国道362号ではなく、正面の少し細い道を進むと、民家の中に北欧風の建物や庭園が点在してゐる。地元の建築業者が手掛ける「DLoFre’s」といふ施設群(古い民家を改装したものもあれば新築もある)である。その中の「白のMINKA」といふ小さなホテルに泊る。

 宿に荷物を置き、夕餉までぶらぶら散歩をし、「DLoFre’s」の施設(北欧の家具や雑貨などを売る店や飲食店など)を覗いてみる。

 何箇所か「Tiny Free Library」(私設図書館)と名付けられた箱があり、互ひに本を融通し合へるやうになつてゐた。

 古い蔵を改装した本屋「蔵で旅するbook store」は、外壁工事のために臨時休業だつた。残念。

 「白いMINKA」での夕餉。前菜盛り合はせ・パスタ(4種類の中から選ぶ)・メイン(魚か肉を選ぶ)・デザート盛り合はせ・飲物のディナーコース。(パスタの写真は省略した。)前菜の奥にあるのは、ワインの6種(白3・赤3)の飲み比べ。少量づつなので、下戸の小生には、色々な種類のワインが飲めてありがたい。

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