木曾路1日目 「奈良井宿」「赤沢森林鉄道」「ヘブンスそのはら」

街角の本屋までの旅

2025.05.04

 黄金週間、妻の提案で、外国人観光客がそれほど殺到しないのではと思はれる木曾路に行くことにし、某旅行社のツアーに参加した。(木曾には以前自分の車で来たことがあるが、かなり昔のことである。)
 「特急あずさ」で「茅野駅」まで行き、観光バスに乗り換へる。
 昼食は、時間の都合で、八王子駅で買つておいた「紀伊國屋」のかつサンドを移動のバスの中で食す。
 最初の目的地は「奈良井宿」だが、やはり黄金週間で混雑してゐて駐車場が満車で渋滞してゐた。少し離れた所で降車し、「奈良井宿」に向かふ。
 「奈良井宿」は、中山道六十九次の中の(江戸から)34番目、木曾路十一宿の2番目の宿場。南北に約1km続く、日本最長の宿場町とのこと。(下の案内図では、右が北になる。)南側から上町・仲町・下町の三町に分かれ、町の中心部である仲町に本陣・脇本陣があつた。現在も「重要伝統的建造物群保存地区」として当時の町並が大切に保存されてゐる。

 5月3日・4日は「奈良井春祭り」(上町・仲町・下町それぞれのお宮のお祭り)とのことで、注連縄や高燈籠・提灯が飾られてをり、花笠踊りの上演もあつた。

 敵の直進と見通しを防いで宿場町を守るために、上町と仲町の境は「鍵の手」と呼ばれるクランク形状になつてをり、下町にも「桝に石垣や土塁が築かれてゐる。

 「奈良井宿」には、参勤交代で宿泊する大名などのために、宗派の異なる寺院が5つほどあるさうだが、渋滞のせゐで時間が無く、参詣はできなかつた。
 宿場の脇の「道の駅奈良井木曽の大橋」には、奈良井川に架かる「木曽の大橋」と呼ばれる総檜作りの太鼓橋があり、国道19号と奈良井宿を繋いでゐる。橋脚を持たない木製の橋としては日本有数の大きさである。(「道の駅奈良井木曽の大橋」は、駐車場やトイレ・休憩所はあるが、道の駅にしては珍しく売店などの商業施設は無い。)

 「奈良井宿」の散策を終へ「赤沢森林鉄道」に向かふバスの車窓からの風景。新緑が眼に鮮やかで、渓流の水も澄んでゐる。

 「赤沢森林鉄道」は、「赤沢自然休養林」にある森林鉄道。「赤沢自然休養林」は、長野県木曽郡上松町にある国有林で、赤沢美林とも言ふ。樹齢300年を超える木曽檜の天然林がある。「伊勢神宮」では、20年ごとに社殿を造り替へて御神体を新宮へ遷す「式年遷宮」が行はれるが、その木材を調達する「御杣山」は適した木材を求めて移動したが、1700年代から現在までは、この木曾谷の周辺となつてゐる。
 明治後半以降、国内木材の需要が高まつたが、水力発電のためのダム建設などにより、水上輸送が困難になると、森林鉄道の敷設が広まつた。しかし、輸入木材の増加と自動車の発達により、森林鉄道は採算が悪化し、次々と廃止になつた。最後の森林鉄道となつた「木曽森林鉄道」も1975年に廃止となつたが、1985年の伊勢神宮御用材伐採を機に復活を願ふ声が高まり、復元保存されてゐた軌道を利用して1987年に観光用として運行するやうになつたのが「赤沢森林鉄道」である。
 「森林鉄道博物館停車場」の傍らには「森林鉄道記念館」があり、アメリカ製ボールドウィン蒸気機関車の1号機を始め、貴賓車・理髪車や現役時代の写真などを展示してゐる。

 起点の「森林鉄道博物館停車場」からトロッコ列車に乗る。

 トロッコ列車が入線すると、皆、夢中で写真を撮る。トロッコ列車を牽引するのは、「北陸重機工業株式会社」の「トロッコ列車用ディーゼル機関車 AFT-01号」。

 単線なので、停車場に着くとディーゼル機関車は、逆方向に牽引するために連結し直す。

 鉄道は、1.17kmに渡つて敷設されてをり、オープントロッコで風を感じながら森林の中を進む。「赤沢自然休養林」は、公園として一部開放されてをり、遊歩道もある。

 終着の「丸山渡停車場」に着くと、逆走するために、ディーゼル機関車は、また連結し直す。

 今日は、よく晴れて、風が心地好い。ここは、日本における〝森林浴〟発祥の地らしい。

 往復25分ほどのトロッコ旅を終へると、夜は「ヘブンスそのはら」で星空観測があるため、移動の途中で早めに手打ち蕎麦と天麩羅の夕食。車窓からは、雪を被つた「中央アルプス」の山並みが見えた。

 伊那谷・木曽谷を結ぶ国道256号線は「はなもも街道」と言はれ、特に「ヘブンスそのはら」のある「阿智村」では、1本の木に白・ピンク・赤の三色の花を付ける「三色花桃」がたくさん植ゑられてゐる。

 「ヘブンスそのはら」は、本来はスキー場だが、冬以外の季節も(冬季も含め)有料で星空の天体観測ツアーとして「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」を実施している。ゴンドラに乗り屋外イベント会場に着くと、毎日ライトダウンタイムがあり、場内の照明が一斉に消灯し、ガイドによる星空解説を聞きながら満天の星空を堪能できる。

 ただし、この日の長野県の日没は18時38分で、19時20分からのライトダウンタイムで解説を聞いたのだが、空はまだ完全に暗くはならず、残念ながら満天の星とはならなかつた。それでも、星座に無知な小生には、星についての解説は面白かつた。(20時00分からの次の回まで待てばかなり暗くなるやうだが、標高1400mの会場の気温は10度を切り、強い風も吹いてゐるので体感気温はさらに低く、その時間まで会場にゐるのは厳しかつた。)
 この日は飯田泊。

コメント