2025.05.28
渡邉義浩 監修『地図でスッと頭に入る中国戦国時代』(昭文社)読了。
『史記』を読んでゐて、小生のやうな浅学菲才の徒が戸惑ふのは、知らない人名や地名が頻繁に出て来ることである。人物については小事典の類を見たりもするが、地名は当時の地図を見ても、小生の所持する『簡明中国歴史地図集』など簡易なものでは、細かな地名は載つてゐないことが多い。
この本では、戦国時代から秦の滅亡までの経緯について、右ページで事項の説明をし、左ページは地図などで視覚的に解りやすく解説してゐる。例へば、戦の説明では、地図上で両軍の侵攻ルートが示されてゐる。見開きで一つの事項の説明が完結してをり、簡便である。主に漫画または映画の『キングダム』などで中国の古代史に興味を持つたやうな読者(初心者)を想定してゐるのだらうが、大まかな理解には役に立つ。地図以外に、当時の城塞都市や戦車部隊の構成や陣形などもイラストで説明されてゐる。
余談。『キングダム』には、あまたの女性の武将が登場する。『史記』などの史書に武将の性別は書かれてゐないが、それは書くまでもないからである。当時の中国で女性の武将はまづありえない。しかし、『キングダム』を読んでゐて、主人公の李信や嬴政以上に魅力的なのは、羌瘣や河了貂や楊端和である。作者の女性キャラを創造する能力が卓越してゐるのだらう。黒桜やキタリや媧燐やカイネも印象的である。歴史を題材にしたエンターテインメントと考へて、気楽に愉しめばよいのだらう。
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