2024.10.20
ここで越後妻有地域とは、新潟県の十日町市と津南町のことである。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」を鑑賞するために訪れた。
「大地の芸術祭」について、「ECHIGO-TSUMARI ART FIELD」H Pから引用しておく。
大地の芸術祭とは
世界最大級の国際芸術祭であり、日本中で開催されている地域芸術祭のパイオニア。アートを道しるべに里山を巡る新しい旅は、アートによる地域づくりの先進事例として、国内外から注目を集めています。
どこで開催されているの?
過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地、新潟県の越後妻有地域(=大地の芸術祭の里)が舞台。農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしが今も豊かに残っている地域で、1年を通して自然の中に作品を展示します。
2000年から3年に1度開催されてをり、今回が9度目になる。
会場は広域に亙るので、オフィシャルツアーに参加するが、初めての参加なので全ての地域を廻る最も一般的なコース( A:エチゴツマリコース)を選ぶ。
バスで「越後湯沢駅」を出発。最初は最も有名な作品、清津峡渓谷トンネルを利用した「Tunnel of Light」(マ・ヤンソン/MADアーキテクツ)を見る。「大地の芸術祭」のことは知らなくても、ガイドブックやネットで、トンネルから外の渓谷を眺めると床に張られた水にも人や渓谷が逆さ富士のやうに映つてゐる写真を見たことがある人は少なくないと思ふ。

これは、トンネルの最奥の写真だが、途中にも渓谷に向かつて開かれた横穴があり、そこにも作品が設置されてゐる。白黒縞の作品は、トンネル内のトイレにもなつてゐる。


清津峡は、日本三大峡谷の一つとして知られ、このトンネルは、渓谷沿ひの遊歩道が危険だといふので廃止された後、渓谷美を見たいといふ多くの人の要望を受けて作られた。2018年の「大地の芸術祭」でアート作品として改修され、トンネル内部の大幅なリニューアルに加へ、エントランス施設も設置された。トンネルからは、清津川の四季折々の景色とともに雄大な柱状節理の岩肌を見ることができる。

バスで移動しながら、「たくさんの失われた窓のために」(内海昭子)・「別の場所から来た物」(ニキータ・カダン)など屋外の作品を見る。


「最後の教室」(クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン)は、廃校になつた「旧東川小学校」の教室や体育館を使つて、地域や学校にまつはる場の記憶を封じ込めた様々な作品が置かれてゐる。

やはり廃校になつた「旧奴奈川小学校」を利用した「奴奈川キャンパス」で昼食。妻有ポークと地元野菜を使用した定食。(団体客だから仕方ないが、折角の新米もスープも冷めてゐたのが、ちと残念。)この会場も教室を利用して子どもたちが五感で体験できる作品を設置してゐる。


午後は、まづ「まつだい農舞台」会場。屋外に「棚田」(イリヤ&エミリア・カバコフ)・「廻転する不在」(東弘一郎)・「花咲ける妻有」(草間彌生)などの作品がある。草間の作品は、ほくほく線「まつだい駅」のすぐ側にある。「まつだい雪国農耕文化村センター」・「まつだい郷土資料館」の中にも、いくつかの作品がある。



次は、「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」に行く。(田島征三の絵本「ちからたろう」は、小生も子どもの頃に読んだ記憶がある。)これもやはり廃校になつた「旧真田小学校」を利用し、体験型の空間絵本美術館として様々な作品が展開されてゐる。


最後は、「越後妻有里山現代美術館 MonET」。美術館は飯山線の側にあり、着いた時にちやうど電車が通過した。(電車は1日8往復しかないとのこと。)

美術館の中庭には水が張られてゐて、美術館の建物や空が映り込んでゐる。これ自体が「空の池」(レアンドロ・エルリッヒ)といふ作品である。その上に水上歩道を設置。これも「阿弥陀渡り」(原倫太郎+原游)といふ作品。その周囲にも作品が設置され、勿論、館内にも常設展示を含め様々な作品がある。




「大地の芸術祭」は、3年に1度の開催だが、屋外の作品は基本的に自由に見ることができる。(ただし最初の清津峡渓谷トンネルに入るには、入場料1000円(2024年現在)が掛かり、混雑期は事前予約が必要。)ツアーも毎年やつてゐるさうだ。
最初は地元の反対もあつたさうだが、かうした過疎地(失礼!)で長く開催が続けられてゐるのは、スタッフの努力と地元の協力の賜物だらう。
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