道東行2日目 「花咲線」「納沙布岬」「野付半島」

街角の本屋までの旅

2025.07.23

 道東の旅の2日目。
 ホテルの部屋から眺めた「釧路港」

 バスで移動し、「厚岸駅」からJR「花咲線」に乗る。
 「花咲線」は、滝川市の滝川駅と根室市の根室駅を結ぶJR北海道「根室本線」の一部(釧路駅 – 根室駅間)の愛称である。沿線には、森林・牧場・湿原・太平洋など北海道の大自然を感じさせる風景が拡がる。「花咲線」を走るのは「キハ54形」と呼ばれるディーゼルカーで、頭上に架線(電車が必要とする送電線)が無い。有人駅は、「釧路駅」「厚岸駅」「根室駅」の3駅のみ。

 駅舎内には「花咲線」の大きなポスターが掲示され、窓口の上にもポスターが貼られてゐる。

 厚岸には、「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを作りたい」(厚岸蒸留所HPより)といふ強い想ひで創設された「厚岸蒸留所」があり、その製品も展示されてゐる。

 「花咲線」は、基本は1輌編成だが、我々が乗る「地球探索鉄道号」は2輌編成で、カラフルなラッピング列車である。

 「花咲線」沿線の「浜中町」は、漫画家モンキーパンチの出身地で、町内の「茶内駅」ではルパン三世と峰不二子のパネルが出迎へてくれる。駅舎のホーム側の窓にも記念撮影用の看板があり、駅名標の傍らには銭形警部のパネルがある。
 「花咲線」にはルパン三世のラッピング列車もあるのだが、残念ながら見ることはできなかつた。

 「浜中駅」にもルパン三世のパネルやポスターがある。

 「浜中駅」で列車を降り、バスで「納沙布岬」に向かふ。
 昨日は車窓から撮つた「麦稈ロール」の写真を載せたが、下の写真は同じロールでも違ふものである。「牧草ロール」と呼ばれ、機械で牧草をロールにしたものをポリエチレンでラップしてサイレージ化するもの。「サイレージ」とは、牧草などの飼料を適度な水分を保つたまま密封し、乳酸発酵を主とする嫌気的発酵を行ふことで貯蔵性を高めた飼料ださうだ。冬の保存食として、雪深い北海道に暮らす牛の飼料となる。

 「納沙布岬」に行く途中、「根室半島チャシ跡群」「オンネモトチャシ跡」を見学する。「チャシ」とは、「砦」「館」「柵囲ひ」などを意味するアイヌ語で、アイヌが16世紀から18世紀にかけて根室半島を中心に北海道各地で築造してゐた「城」のことであり、日本100名城にも選ばれてゐるが、「砦」としてだけでなく様々な行事に使用されてゐたやうだ。

 根室半島の突端・北海道最東端の「納沙布岬」を訪れる。
 岬の食堂「東光」で、昼食「花咲ガニのカニ吹雪丼」を食す。

 昼食後、「納沙布岬」を自由散策。あちこちに「北方領土返還」を訴へる看板や碑が設置されてゐる。

 「納沙布岬」からは「歯舞群島」が近く、青い水平線の向かうに微かに見えるのは、その中の「貝殻島」だと思はれる。

 岬の突端には「納沙布岬燈台」がある。北海道の洋式燈台の最初のもので、日本の燈台50選にも選ばれてゐる。

 岬には「根室市北方領土資料館」があり、日本100名城のスタンプを集めてゐる人は、ここでそのNo.1「根室半島チャシ跡群」のスタンプを捺すことができる。資料館には、この地域に生息する動物の剥製が展示されてゐた。

 「北方領土資料館」の前の温度計は31度を示してゐた。(例年の7月の最高気温の平均は約18度らしい。)

 「納沙布岬」から「野付半島」へ向かふ途中で「風蓮湖」に立ち寄る。
 「風蓮湖」は、北海道根室市と野付郡別海町にまたがる湖で、野付風蓮道立自然公園に含まれる。巨大な汽水湖で、周囲には海岸砂丘・草原・湿地・森林と変化に富む自然が広がり、さまざまな植物が生育、丹頂鶴など約240種にも上る鳥類も観察できる。ラムサール条約登録湿地。

 「野付半島」は、標津郡標津町および野付郡別海町にある細長い半島で、全長約26kmに渡る日本最大の砂嘴(沿岸流により運ばれた漂砂が静水域で堆積して形成された嘴形の地形)である。ラムサール条約登録。

 野付半島にある「この世の果て」「世界の終はり」とも称される絶景が「トドワラ」と「ナラワラ」である。
 「トドワラ」とは、海水の浸食と潮風によつて立ち枯れた椴松(トドマツ)林の跡であゐる。半島先端近くの「トドワラ」には、途中までトラクターバスで行ける。その先は、木道の上を歩いて行く。

 立ち枯れた椴松は、折れて倒れてしまひ、残つてゐるのは数本になつてしまつた。

 トラクターバスで来た道(正確には並行する道)を帰りは歩くことにしたので、蝦夷鹿の群れが海辺の草を食べてゐるところを間近に見るきとができた。猛暑のせゐか、海水浴をしてゐる鹿の群れもゐた。

 「ナラワラ」と呼ばれる水楢(ミズナラ)が立ち枯れた場所は、まだ多く残つてゐる。

 バスで屈斜路湖畔のホテルに向かふ。車窓には、北海道らしい雄大な風景が続く。

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