阿佐ヶ谷駅南口

街角の本屋までの旅

2024.10.21

 阿佐ヶ谷の地名を全国区にしたのは、阿佐ヶ谷姉妹の功績が何より大きいだらう。しかし、東京では以前から文化的な雰囲気のある地域として広く親しまれてきた。かつて関東大震災で東京市内が壊滅すると、荻窪や阿佐ヶ谷界隈に井伏鱒二・太宰治ら多くの文学者が住むやうになり「阿佐ヶ谷文士村」が形成された。吉田拓郎には「高円寺」といふ歌もあるが、1970年代には上京したミュージシャンでこの界隈に住む者も多かつた。吉祥寺の楳図かずお・一条さゆり・江口寿史・大友克洋など、漫画家で中央線に住む者も多い。『きのう何食べた?』(よしながふみ)・『ひらやすみ』(真造圭伍)・『A子さんの恋人』(近藤聡乃)など阿佐ヶ谷を舞台にした漫画もある。中央線の中野から吉祥寺界隈にはライブハウスなども多く、文化を育む風土があるのだらう。阿佐ヶ谷では、毎年10月にジャズミュージシャンが街中で演奏するといふ「阿佐谷ジャズストリート」が開催される。各所に「阿佐ヶ谷ジャズストリート2024」のポスターが貼られてゐた。

 南口のロータリーの西側には「八重洲ブックセンター」がある。入口は小さいが、中に入るとかなり広く、本の品揃へも豊富である。

 阿佐ヶ谷駅の傍らには、中杉通りが南北に延び、欅の街路樹が整備されてゐる。南下して青梅街道にぶつかるところに、地下鉄丸ノ内線の「南阿佐ヶ谷駅」がある。
 だが、今日は南口からすぐの所にあるアーケード商店街「阿佐谷パールセンター」を歩いてみる。

 入口近くには魚料理専門店「おさかな食堂」があり、常連客で賑はつてゐる。小生は、今日は「さんまの塩焼き定食+お刺身セット」を食べた。

 「阿佐谷パールセンター」には、新旧200を超える店舗があり、夏には「阿佐谷七夕まつり」が開催されるので有名である。地元の小中学生が作つた「阿佐谷ジャズストリート」の垂幕もあり、地元の人たちに愛されてゐることが判る。路地には児童書専門店「子どもの本や」(今日は定休日)や小劇場「Theater SHINE」などもある。「ともえ庵」は先日もTV番組「ざわつく金曜日」で紹介され、翌日は長い行列が出来てゐた。
 ずつと歩いて行くと「南阿佐谷すずらん商店街」につながる。

 阿佐ヶ谷駅の高架下は、「Beens」といふショッピング・モールになり、カフェや食料品店、料理教室などさまざまな施設がある。高円寺方面に向かつて進むと、「al:uk」といふエリアになり、やはりショップや保育施設などが並んでゐる。

 線路沿ひの左手(線路の北側)には、「杉並区阿佐谷地域区民センター」があり、屋上は小さな公園(けやき公園)になつてをり、建物は3階なのでそれほど高くはないが、周囲を見渡せる。眼下に中央線の線路も見える。

 「区民センター」のある所の線路の右手(南側)からは、「桃園川緑道」がある。かつては桃園川が流れてゐたが現在は暗渠になつてをり、高円寺を経て、東中野駅の南で神田川に接する所まで延びてゐる。緑道の入口では、蛙のオブジェが出迎へてくれる。緑道の途中にも亀やラッコなど様々なオブジェがある。

 この亀の像の先を右手(南側)に折れると、「馬橋稲荷神社」がある。コンクリートの鳥居には龍の彫刻があり、今年は辰年なので正月には大勢が訪れて写真を撮つたりしてゐたさうだ。

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