静岡からつま恋へ 「三保の松原」「日本平夢テラス」「蓬萊橋」

街角の本屋までの旅

2025.11.30

 某旅行会社のツアー「富士山を仰ぐ絶景スポットと個人では行きにくい秘境寸又峡・奥大井湖上駅 2日間」に参加する。
 1日目の今日は、さまざまな場所から富士山を眺める旅。
 JR「静岡駅」から貸切観光バスに乗り換へて「三保松原」に向かふ。
 南口ロータリーには、ルノワールの彫刻が2体展示されてゐる。(下の写真は「洗濯する女」。もう1体は「勝利のヴィーナス」。)

 駐車場から「三保松原」に入る。「三保松原」は、静岡県静岡市にある沿岸の約5kmに渡る松林で、駿河湾を挟んで望む富士山や伊豆半島の美しい眺めで有名。歌川広重の『六十余州名所図会』中の「駿河 三保の松原」を始めとする浮世絵にも描かれてゐる。『万葉集』にも「廬原の清見の崎の三保の浦のゆたけき見つつ物思ひもなし(廬原乃 浄見乃埼乃 見穂之浦乃 寛見乍 物念毛奈信)」(巻三 296 田口益人)・「風早の三保の浦廻を漕ぐ舟の舟人騒く浪立つらしも(風早之 三穂乃浦廻乎 榜舟之 船人動 浪立良下)」(巻七 1228 詠み人知らず)などと詠まれ、歌枕となつてゐる。(訓み下し文は岩波文庫に拠る。)世界文化遺産「富士山—信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産になつてゐる。

 天女伝説で知られる「羽衣の松(三代目)」。毎年10月には松前で「三保羽衣薪能」が開催されるのださうだ。

 『万葉集』巻三「風早之 三穂乃浦廻乎 榜舟之 船人動 浪立良下」の歌碑。「かざはやのみほのうらみをこぐふねのふなびとよどむなみたつらしも」と訓が振られてゐる。(歌碑では、岩波文庫と違ひ「動」の字を「よどむ」と訓じてゐる。)

 「御穂神社」の離宮である「羽車神社」がある。(元は「三保松原」は「御穂神社」の鎮守の杜だつた。)

 三保海岸から眺める「三保松原」

 三保海岸から松林越しに冠雪した富士山を眺める。(クレーンが残念だけれど…。)

 「神の道」から続く入口には、看板・掲示板が設置されてをり、「三保松原」「三保羽衣薪能」の歴史などが説明されてゐる。その向かひには「天女の館 羽衣ホテル」がある。

 入口前の広場には、静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」があり、「三保松原」と富士山の関はりや羽衣伝説などについて様々な展示がされてゐる。静岡茶の専門店「三保羽衣 中村園」や売店「いちまる水産」もある。

 「いちまる水産」で「静岡おでん」を食したが、実物の写真を撮り忘れたので、店の看板の写真を掲げておく。「静岡おでん」といふと黒い出汁をイメージしてゐたが、魚粉が掛けてあるのが特徴で、その他は地域によつて違ひがあり、清水では薄い色の出汁で味噌が掛けてあるさうだ。美味。

 清水港内を航行する「三保松原ミニクルーズ」の観光船に乗る。

 観光船から眺める「三保松原」越しの富士山。

 船内では鷗の餌を売つてゐて、観光客が餌を撒くと百合鷗が寄つて来る。

 コンテナ埠頭越しの富士山。

 人に馴れてゐるのか、百合鷗が船縁に集まる。向かうに見える「エスパルスドリームプラザ」で自由昼食。

 「エスパルスドリームプラザ」は、静岡市の廃線となつた清水港線の清水港駅跡にある複合商業施設で、飲食店など多くの店舗やアミューズメント施設がある。「ちびまる子ちゃんランド」(作者のさくらももこが静岡市出身)やシネマコンプレックス「MOVIX清水」や観覧車「ドリームスカイ」などもある。
 「エスパルスドリームプラザ」にある「清水すし横町」内の「鮨 川澄」で昼食。折角なので「特選地魚にぎり」を食し、地酒「臥龍梅 純米吟醸」を呑む(妻と2人で1合)。

 「清水 いりふね通り」には、産直野菜・鮮魚・ひもの店などさまざまな店がある。一角に「ラムネ博物館」があり、御当地サイダー(ラムネ)を展示・販売してゐる。

 珍しいので話の種に「うなぎコーラ」「カレーパンサイダー」を購入。

 港に面した「清水マリンパーク」「清水港テルファー」がある。「テルファー」とは、荷物を吊り上げて水平レールに沿つて移動させるクレーンで、木材を陸揚げする効率を飛躍的に向上させ、清水港が国内最大の木材陸揚げ港として発展することに大きく貢献したといふ。国の登録有形文化財になつてゐる。

 「清水マリンパーク」にある「ちびまる子ちゃん」フォトスポット。(皆がスマートフォンで写真を撮るスポットになつてゐるのだから、商業利用でなければネットに挙げてもよいのだらう。)

 海にあるごみの約8割がポイ捨てや置きつぱなしにされた街からのごみなのださうだ。「ごみを拾って静岡の海をみんなでまもろう!」とまる子ちやんも言つてゐる。

 ちやうど「THE 和太鼓」のショーが行はれてゐた。

 再びバスに乗り「日本平夢テラス」に向かふ。

 「日本平夢テラス」の駐車場の近くでは、「This Is Cafe」とアニメ「ゆるキャン△」とのコラボカフェが開催されてゐた。

 「日本平夢テラス」は、日本平の頂上にある展望施設で、木材を多用した八角形の個性的な建築は隈研吾建築都市設計事務所に拠る。(「法隆寺」の夢殿にヒントを得たさうだ。)
 3階(屋外)の「展望回廊」越しに富士山の雄姿が見える。

 「展望回廊」から駿河湾越しに富士山が裾野まで眺められる。

 「日本平ロープウェイ」の乗り場を見下ろす。ロープウェイを下ると「久能山東照宮」に至る。徳川家康の遺骸は遺命によつて久能山に葬られ、第2代将軍徳川秀忠によつて東照社(現・久能山東照宮)の社殿が造営された。本殿・石の間・拝殿は国宝

 バスで移動し、大井川に架かる(明治12年架橋)木造橋「蓬萊橋」を渡る。(「8974=厄無し」の語呂合はせで、縁起の好い橋とされてゐるさうだ。)「世界一の長さを誇る木造歩道橋」(全長897.4m)としてギネス認定されてゐる。

 「蓬萊橋」の欄干は、高さが膝くらゐまでしか無く、誰かにぶつかられたら落ちてしまひさうで、意外に怖かつた。

 対岸の橋の袂にある「蓬萊橋吉祥天女」の祠。

 「蓬萊橋吉祥天女」の傍らから続く散策路の坂の上から見下ろす「蓬萊橋」。増水時は、向かう岸まで大井川の川幅が拡がるのだらう。

 復路の「蓬萊橋」の上から眺める大井川と「島田大橋」越しの富士山。(ちよつとぼやけてゐるけれど…。)

 往復して戻つて来ると、もう黄昏時で、空に上弦の月が架かつてゐるのがはつきりと見えた。

 この日は、掛川市の「つま恋リゾート 彩の郷」泊。夕食前に、施設内の天然温泉施設「森林の湯」で入浴。(客室棟から離れてゐるので、園内バスで移動。)夕食は、食べ放題バイキングが人気のやうだ。黒はんぺんなどの郷土料理もあり。

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