小生、年金受給まで3年を残して公立高校の教員を辞した。
教師といふ仕事が、長時間労働にも関はらず(公立学校の場合)残業代も出ないといふブラックな職場だといふことが、最近知られるやうになつた。
三宅香帆の『なぜ働いていると本が読めなくなってしまうのか』(集英社新書)がベストセラーになつたが、小生も、以前のやうには本が読めなくなつた。若い頃は、年に150〜200冊くらゐは本を読んでゐたが(漫画は除く)、最近は40〜50冊くらゐしか読めなくなつてしまつた。
我が家は、地下に書庫があり、2万冊近く収蔵できる作り付けの本棚を作つてもらつた。しかし、本が通路に溢れて積まれてゐて、折角の本棚の本が奥の方のものは取れないのが現状である。しかも、半分ほどは読まれないまま…。(現在の蔵書は2万4000冊くらゐ。小生、「飲む・打つ・買ふ」はほとんどしないが、家のローンと書籍代で給料を使ひ果たしてしまひ、貯金はほとんどできなかつた。)残りの人生の時間が限られる中で、この積ん読になつてゐる本を可能な限り読みたいといふのが、退職の第一の動機である。


とはいへ、毎日机にしがみついてゐては、体力も減退し、認知症(この病名はをかしいと思ふが)になる懼れもある。晴れた日は、なるべく外に出て散歩(街角の本屋までの旅)をし、雨が降つたら、読書三昧の日々を愉しまうと思ふのだ。(専業主夫なので、勿論家事もしなければならないが…。)永井荷風も『断腸亭日乗』の中で「抑今日のごとき寒雨の日、鶏犬も屋外に出ることを好まざる時、終日独炉辺に閒坐し、心のままに好める書を読むことを得るは、人生無上の幸福にあらずや。」(大正14年12月21日)と記してゐる。
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