今回取り上げる「感動文房具」は、KOKUYOの「PLASTIC ERASER カドケシ」である。
10月15日の投稿「偏愛文房具—感動文房具2」で三菱鉛筆uniの「KURU TOGA(クルトガ)」を紹介した。筆記してゐると偏減りによつて文字が太くなつてしまふことを防ぐために、自動で芯を廻転させて偏減りを防ぐ機構を開発したメカニカル・ペンシルである。お蔭で、自分の掌の中でペンシルを廻転させる必要が無くなつた。
消しゴム(正確には大半がプラスチック・イレイザー)でも、同様に、使用してゐるうちに磨り減つて角が丸くなり、紙に接する面積が広くなつて、消さうとした字の隣の字まで消えてしまふことがある。
そこで、磨り減つてゐない尻の方の角を使つて消したり、磨り減つた部分をカッターで切り落として出来た新しい角の部分を使つたり(勿論もつたいないので切り落とした方の新しい角も使ふ)、色々と工夫をしたものだ。「字消し板(字消しプレート)」を使ふといふ方法もあるけれど、できれば手軽な方が好い。(「字消し板」とは、ステンレスなどでできた様々な形の穴が開いた薄い板で、文字や線などを消しゴムで消す際に、消す必要の無い部分を一緒に消してしまふことを防ぐための道具。下の写真は、小生の字消し板で、メーカー名は無いがSTAEDLER製だと思ふ。)

そこで、老舗文具メーカーKOKUYOは、「PLASTIC ERASER カドケシ」を開発して、これが大ヒットした。立方体を市松模様のやうに繋ぎ合はせて、角をたくさん(28箇所)作つたプラスチック消しゴムである。1つの立方体が磨り減つて無くなつても、また新しい立方体が現れて、ずつと角が無くならないのだ。この発想には感動した。

誰かが作つたものを見ると「な〜んだ」と思ふかもしれないが、最初に思ひ付いた人はすばらしい。さらにKOKUYOは、星形の消しゴムの5つの角を〝カド(尖り)〟〝3mm〟〝4mm〟〝5mm〟〝6mm〟として、文字(行)の幅に合はせて選べるやうにした「PLASTIC ERASER ミリケシ」(馬場雄二との共同開発)を発売した。これも便利である。

この「カドケシ」のヒットを受けて、他のメーカーも六角柱形や蛇腹形や螺旋状のものや漢字の〝消〟字の形のものなど様々な形の〝多角消しゴム〟を開発・販売するやうになつたが、やはり最初に開発したKOKUYOの「カドケシ」の開発担当者に敬意を表したい。



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